疲労を自覚する中年女性を対象に、4種のアミノ酸(ロイシン、グルタミン、アルギニン、プロリン)とビタミンの混合物(AVS1160)の摂取でどのような生理学的応答が見られるか検証を行った。
[結果]
1)アミノ酸の摂取で疲労スコアと血中酸化ストレス度が有意に改善した。
2)疲労スコアと血中酸化ストレスとの間に有意な正の相関関係が見られた。
[考察]
疲労は末梢性疲労と中枢性疲労に分類される。これまでにわれわれはアミノ酸による 末梢性疲労へのアプローチを行ってきた。一方、中枢性疲労は慢性疲労症候群 (CFS:chronic fatigue syndrome)とも関連すると考えられている。今回、中枢性疲労に 着目し、疲労改善の栄養学的なアプローチとして、アミノ酸の摂取による疲労と血中酸化 ストレスの関係について検証した。
産業疲労研究会(日本産業衛生学会)が定める疲労自覚症しらべ は、頭がおもい、いらい らするなどの合計25項目によって疲労スコアを算出でき、疲労評価の調査票の一つである。 ATS1160の摂取で、有意な疲労スコアの改善が確認された。アミノ酸(グルタミン)や ビタミンは、脳内の神経伝達物質の合成過程で必要であり、AVS1160の摂取で、脳内の神経 伝達物質の代謝をスムーズにし中枢性疲労の軽減に寄与した可能性が考えられる。
フリーラジカル解析装置FREE carpe diem(ウイスマー研究所製)は簡便に血中の酸化スト レス度(d-ROMs test)、血液の抗酸化力(BAP test)を測定できる機器で多くの医療機関、 大学で活用されている 2)。今回AVS1160の摂取で、血中の酸化ストレス度が有意に改善 することを確認した。また、同時に疲労スコアと血中の酸化ストレスの関係を検証した ところ、有意な正の相関が見られた。
疲労の客観的な評価方法は確立が難しく、疲労のマーカーの一つとして、血中の酸化ストレ スが有用であると考えられる。さらに、血中の酸化ストレスの評価と疲労自覚調査の併用 調査は、一般的な診察や臨床検査では異常は見られないが、慢性的な疲労状態にある患者の 症状把握に有用であると考えられる。