AMINO EVIDENCE

アミノエビデンス

【健康】二日酔い、悪酔い予防

肝臓のアルコール代謝に及ぼすアミノ酸摂取研究

アミノ酸が肝機能を改善することは今までに何回か取り上げてきたが、今回はアルコール代謝に及ぼすアミノ酸の効果を検討した。

ワンポイント解説

「酒は百薬の長」といっては飲酒量が増え、γ-GTPまで高値を示していても、のん気な人が多いのが現状である。しかし、「若いときは一升酒でも酔わなかったし、二日酔いなんか…」と豪語するツワモノも不惑の年を超えれば、肝心要の肝臓は、寝不足、不規則な食事による栄養不良、運動不足、喫煙などの生活習慣に起因する様々なストレスにさらされ弱りきっている。お酒を飲んで気分を高揚させストレスを発散させたいけれど、翌日の朝は気分すっきり目覚めたい、という身勝手な要望の手助けになるかもしれない特定のアミノ酸がある。

アミノ酸一口メモ

エビデンス

[結果]
アミノ酸摂取群では呼気中のアルコール濃度が飲食終了後の30%にまで低下しているのに比べ、非摂取群では50%の低下にとどまった。また、アミノ酸摂取群では口臭の強さが低下しているのに比べ、非摂取群では約2倍に増加していた。体感調査においても、アミノ酸摂取群では頭痛、吐き気などの悪酔いや二日酔いがなかった。

[考察]
周知のとおり、アルコールの代謝は肝臓で行われ、その約7割がアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)およびアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)を介した代謝経路で行われ、残りの約3割はミクロゾームの酸化系(MEOS)によって処理することが知られている。アルコール代謝の主たる経路では前者のADH、ALDHにおいて、その代謝過程で多量のNADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)が産生されるが、アラニンやグルタミンのような糖原性アミノ酸は、それらが糖新生に用いられることによって過量に生じたNADHを消費し、その結果としてアルコール代謝を促進した可能性が考えられた。
この仮説は、アルコール負荷ラット試験において、血中のNAD/NADH比を反映するとされている、血中ケトン体濃度比の経時的測定からも示唆されている3)。
今回の研究では、アルコール摂取後にアミノ酸を摂取した群においては、呼気中アルコール濃度と口臭の強さが非摂取群に比べて減少し、体感調査の回答にも差が認められた。
すなわち、アミノ酸摂取によって肝臓でのアルコール代謝が亢進したこと、また体内残存アセトアルデヒド量が減少したことがわかる。このため、頭痛、吐き気などの悪酔いが起こらず、二日酔いも発生しなかったといえる。
文献
1)Hishikawa K, et al: J Hypertension 11:639, 1993.
2)Palmer RM, et al: Biochem Biophys Res Commun 153(3):1251-1256, 1988.
3)馬渡一徳ら:Food Style 21 6(11):48-52 2002

出典:「美 アミノエビデンス155―「きれい」はアミノ酸でつくる」