【スポーツ】スポーツリハビリに有用
スポーツ・リハビリテーションにおけるアミノ酸摂取研究
スポーツ障害からの回復を目的としたリハビリテーションは「スポーツ・リハビリテーション」と呼ばれている。トップアスリートたちのスポーツ・リハビリテーションに豊富な経験をもつ東京大学大学院総合文化研究科の福林徹教授は、前十字靱帯損傷による靭帯移植手術後のスポーツ選手のリハビリテーション中における筋体積および等角速度性筋力に及ぼすアミノ酸摂取の効果を研究した。
ワンポイント解説
サッカー、ラグビー、バスケット、バレーボール、スキー等の選手は膝の前十字靭帯を損傷することがある。例えばJリーグやLリーグの選手では、100名当たり2.4人(男性)、4.8人(女性)が靭帯損傷を起こしている。選手生活に復帰するために靭帯の移植手術を行うが、完全回復には約1年が必要である。しかし、完全に元の状態に回復できるかどうかは、手術のタイミングや術後のリハビリテーション次第である。筋肉や腱を怪我あるいは故障した際に、アミノ酸を摂ることで回復が早いという主観的なコメントは多く寄せられていたが、定量的なデータがなかった。今回初めて、アミノ酸がスポーツ・リハビリテーションに効果のあることが検証された。
アミノ酸一口メモ
エビデンス
[結果]
アミノ酸群では、術後6カ月〜1年後にはコントロール群よりも大腿伸筋と大腿屈筋の筋体積が増加し、それとともに等角速度性筋力が向上していた。
[考察]
スポーツ選手の怪我のうちで前十字靱帯損傷は、完治するまで最も時間がかかるといわれている。また、筋肉は1日使わないと1%落ちるといわれており、手術後に2週間くらい安静状態を続けると相当量の筋肉が落ちてしまうので、できるだけ早期に全身の筋肉を維持しながら、患部のリハビリテーションをしていく必要がある。今回の研究では、前十字靱帯損傷による靭帯移植手術後のリハビリテーションの過程で、患部の筋肉の増大や筋力回復をはかる時期にアミノ酸が重要な役割を果たすことが観察された。なお、試験初期の3カ月目のアミノ酸群のデータが、コントロール群より劣っている理由は不明である。
リハビリテーションでは安全性も大切な要素で、患部に負担をかけないように1日も早く筋肉を増大させ、筋力を増強するために、筋肉の主成分となる分岐鎖アミノ酸を並行摂取することは特に有効である。また、分岐鎖アミノ酸に加えてアルギニンやグルタミンを十分に摂取すると、筋タンパク合成がさらに促進されて効果的である。その理由として、運動時の疲労感を起こす原因のひとつにアンモニアの可能性があり、アルギニンによってアンモニアを除去し、さらにグルタミンによって筋タンパク同化を促進するためである。
今回の研究を行った福林教授によると、AVP3600を一日当たり9g摂取することにより筋体積が確実に増え、筋パワーも相乗的に高まっていくので、スポーツ選手にとっては効果的なサプリメントだという。また、スポーツ・リハビリテーション中は、運動強度は控えめでも長時間にわたって多くの回数の運動を行うため、筋肉に疲労が蓄積する。疲労が蓄積するとリハビリテーションの効果が思うように上がらないために、肉体的にも精神的にもストレスがたまり、ますます回復が遅れるという悪循環に陥ってしまうが、分岐鎖アミノ酸やアルギニン、グルタミンを配合したAVP3600は筋肉の回復だけでなく疲労の回復も早める作用もあることから、リハビリテーションと並行して摂取することは大変有用であるという。
文献
1)Mawatari K, et al: The 10th congress of the international society for biological research on alcoholism, 2000.
出典:「アミノエビデンス255―なぜ効くのか・何に効くのか」