AMINO EVIDENCE

アミノエビデンス

【健康】動脈硬化改善

脂質異常症中高年におけるアミノ酸・ペプチド摂取研究

脂質異常症中高年を対象に、牡蠣肉を酵素加水分解して得られたアミノ酸・ペプチドの摂取でどのような生理学的応答が見られるか検証を行った。

エビデンス

[結果]
1)アミノ酸・ペプチド摂取2ヶ月で血中のVLDLが有意に低下し、HDLが増加傾向を示した。
2)baPWVが摂取1ヵ月後、有意に低下した。

[考察]
「海のミルク」と呼ばれる牡蠣には、アミノ酸に加えタウリン、グリコーゲン、亜鉛などがバランスよく含まれている。牡蠣は、豊富に含まれる栄養成分、微量元素に加え、機能性成分も注目されている。牡蠣に含まれるペプチドは、血圧降下作用に関連するACE阻害活性をもつことが報告されている 1)。今回牡蠣のたんぱく質を酵素加水分解して得られたアミノ酸・ペプチド(アミノ酸が2〜10個結合したもの)を抽出、精製し試験に使用した。

VLDL(超低比重リポ蛋白質)はLDLの前駆物質である。VLDLは肝臓で合成された中性脂肪を抹消組織に運搬し、LDLに変化する。VLDLは肝臓での中性脂肪合成に従って増減するため、内因性脂肪量の指標のひとつである。LDLに加え、VLDLも動脈硬化の危険因子として注目されている。

本臨床試験において、牡蠣のアミノ酸・ペプチドがVLDLを低減することを確認した。これまでに前臨床試験で牡蠣のアミノ酸・ペプチドが肝臓の脂肪酸合成酵素活性を抑制し、肝臓の中性脂肪を低減することが報告されている 2)。ヒトにおいてもアミノ酸・ペプチドが肝機能に働きかけ、肝臓での過剰な中性脂肪合成を調整したと考えられる。また、上腕-足首脈波伝播速度(baPWV)が低下し、血管硬度の低下が確認された。アミノ酸・ペプチドがVLDLを低減することで、血管が閉塞する原因となる粥状(アテローム)硬化が抑制され、血管硬度の低下、動脈硬化の改善に寄与したと考えられる。

本試験において脂質異常症中高年の脂質異常、動脈硬化の改善が確認され、アミノ酸・ペプチドの摂取は、健康維持、生活習慣病予防に有用であると考えられる。今後は牡蠣のペプチドに含まれる様々な機能性ペプチドの同定とさらなる検証に期待したい。
文献
1)Shiozaki K, et al : Fish Sci.76 : 865-872, 2010.
2)Tanaka K, et al : Biosci Biotech Biochem. 70 : 462-470, 2006.
3)Ohtani M et al, Jpn J Clin Nutr (submitting)

出典
大谷勝他:長期的に牡蠣ペプチド配合サプリメントを摂取する栄養学的意義について.第32回日本臨床栄養学会.2010
大谷勝:Dr.アミノのホントに効くサプリ.エクスナレッジ社.2010